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『全般性不安障害』と『社会不安障害』

今回のテーマは、『全般性不安障害』と『社会不安障害』についてです

不安とは「対象がはっきりしない漠然とした恐れや緊張感などの不快な感情で、動悸や発汗などの自律神経症状を伴っているもの」です。対象がはっきりしている不安や、軽い不安感は誰もが感じるもので、不安を感じるからといって、必ずしも病気とは言えません。

私たちは普段の生活の中でうまく不安に対処しながら過ごしています。ところが、誰もが感じる程度をはるかに超える不安を持ち、それが元で日常生活に支障をきたしてしまう場合があります。

それが、「不安障害」という病気です。

全般性不安障害(GAD)

全般性不安障害も不安障害の一つで、「特定の状況に限定されない、理由の定まらない不安や心配」が長時間続き、心や体の症状が伴う病気です。

決まった状況ではなく、理由もはっきりしない不安感、いろいろなものに対する不安が度を越してしまいます。たとえば、あるひとつのことが頭に浮かぶと、そのことで最悪の状況を想像し、あれこれと取り越し苦労をしてしまい、それが長時間続きます。

具体的な例を挙げると、お金や子供のことなどで、普段の生活が順調なのに、破産して無一文になったらどうしよう、子供がグレて犯罪者にでもなったらどうしようなど具体的にこれといった心配の種もないのに、根拠もなく最悪のことを考えてしまいます。

また、この不安のために、落ち着きがなくなり、ものごとに集中できなくなることもあります。自律神経の変調が伴い、頭痛や疲れやすさ、不眠などが出現し、日常生活に支障をきたします。

男性に比べて女性のほうが1.5倍~2倍くらい多く、大半は若い女性です。10代で発症することもあります。女性が多いのは、女性特有の心理的な要因、生理的要因、あるいは社会的に期待される性的役割からくるストレスなどが複雑にからみあって症状があらわれると考えられています。

主な症状

主な症状には以下のものがあります。

身体症状

  • 頭痛、頭重感、頭の圧迫や 緊張感、しびれ感
  • めまい、頭が揺れる感じ
  • 全身に脈拍を感じる
  • 便秘または下痢、頻尿

精神症状

  • 些細なことが気になり、取り越し苦労が多い
  • 常に緊張してリラックスできない
  • そわそわ、いらいらして怒りっぽい
  • 根気がなく疲れやすい
  • もうろうとする、自分の体ではないような感じ
  • 集中力がない
  • 寝つきが悪く、途中で目が覚める
  • 記憶力が悪くなった感じ
  • 悲観的になり、人に会うのがわずらわしい

治療

最も一般的な療法は、薬物療法と精神療法の併用です。

薬物療法

主に抗不安薬、抗うつ薬などが使われます。これらにはそれぞれ多数の種類があります。個々の方の症状や体質に合った薬をふさわしい量だけ飲むことが大切です。

精神療法

認知行動療法、支持的精神療法、洞察的精神療法などを使い分けて不安をコントロールします。これらの治療法は薬物療法と同じように効果があると言われていますが、患者さんの努力がとても大事となり、またその効果が現れるまでには長く時間がかかるとも言われています。

治療法については個々の方の症状、体質によっても異なりますので、担当医にご相談下さい。

社会不安障害(SAD)

大勢の人を前に話したり歌ったり、会議での発表や意見を言う、また、偉い人(学校の先生や職場の上司)や良く知らない人と話をする…といった状況に自分が置かれたり、また、そのような状況に自分が置かれることを想像するとき、「緊張したり不安を感じる」ということは誰でもあると思います。

社会不安障害(SAD)は、このような状況で「普通の人よりも強い不安を感じ、それらの状況を避けることにより、毎日の生活や仕事に支障をきたしてしまう」病気です。

SADの患者さんは、上記の他にも、レストラン、喫茶店、居酒屋などで飲食をしたり、職場や学校などで、人前で仕事をしたり字を書くなど、普通の人であれば特に緊張したり、不安を感じたりすることのない状況でも強い不安を感じることがあります。

ご自分でもこの不安や恐怖が過剰であり、回避することで社会生活に支障をきたしているという認識はあり、著しく悩んでいます。また、SADの患者さんは「自分が内気な性格だから」「性格だから病院に行ってもしょうがない」と思い込んでいることも多いのが現状です。

主な症状

  • 手足が震える
  • 息が苦しくなる
  • 動悸がする
  • 大量の汗をかく
  • 顔が赤くなる
  • 声が出なくなる
  • 頻繁にトイレにいきたくなる

治療

最も一般的な療法は薬物療法と精神療法の併用です。

薬物療法

最近の研究ではSADは脳(セロトニン神経系とド―パニン神経系)の機能障害によって発症するのではないかと推測されています。現在、日本では前出の全般性不安障害と同様、抗うつ剤、抗不安剤を用いた治療法が一般的です。

精神療法

支持的精神療法、精神分析療法、認知行動療法などがあります。

認知行動療法では、エクスポージャー(不安症状を起こす状況などを擬似的に再現し、そのような状況下に身を置いて不安症状が収まるようにトレーニングする)、ソーシャルスキルトレーニング(話し方や視線の置き方など、人との接し方のトレーニング)などを行って、実際に恐怖を感じる場面に直面した場合に感じる不安感を自分自身でコントロールできるようにしていきます。

問題点を洗い出し、解決できそうな小さな問題から徐々に解決していくという方法がとられています。この方法は患者さん自身の努力がかなり必要となります。

治療にあたっては医師とご相談下さい。

参考文献:『日本医師会雑誌 Vol.131 No.12 精神障害の臨床』

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